理事長所信
理事長所信
【2026年度 スローガン】
UPDATE
【基本方針】
1、自己開発から始まる組織の UPDATE
2、街のデザインを UPDATE
3、次世代育成の UPDATE
4、時代に則した組織運営の UPDATE
5、共感とつながりの創出へ UPDATE
第46代理事長
石井昂太
【はじめに】
過去を尊重し、未来を恐れず、現在を生きよ――。私が感銘を受けて今まで大事にしてきた言葉です。歴史と伝統を大切にしながらも、時代に即した変革を恐れず挑戦し続ける姿勢は、まさに私たち青年会議所に求められているものであり、その覚悟こそが未来を切り拓く力となります。
今、社会は激動の中にあります。生成AIやデジタル技術の急速な進歩、グローバル経済の変動、そして少子高齢化の加速。こうした大きな潮流は、海老名市の未来とも無縁ではありません。現在、海老名市は人口約 14 万人を擁し、平均年齢は約 44 歳と県内でも比較的若い都市です。特に 30~40 代の子育て世代が流入し続けており、首都圏のベッドタウンでありながらも都市化が進んでいます。しかし、成長は永遠に続くものではなく、2039 年には人口減少が予測されています。未来を見据え、都市としての価値を持続的に高めていくためには、常に進化を求める姿勢が欠かせません。
では、いま海老名に大きな「課題」があるのかと問われれば、多くの市民はそう感じていないかもしれません。確かに、日々の暮らしを大きく脅かすような壁があるわけではなく、他都市と比べても住みやすさが際立つまちです。だからこそ、青年会議所の活動が従来通り「課題解決」に偏りすぎることには疑問もあります。私たちはこれまで課題の解決に真摯に向き合ってきましたが、これからも同じ姿勢だけでよいのでしょうか。
今、私たちに必要なのは、目先の課題にのみばかりに対処することではなく、未来を見つめ、語り合い、事実に則した新たな運動の土台を築いていくことです。だからこそ、海老名青年会議所は 2026 年度にスローガン「UPDATE」を掲げます。
UPDATE とは、単なる刷新ではなく、これまで先輩諸兄姉が築いてこられた歴史と伝統の土台を尊重しつつ、時代にふさわしい価値を加え、進化させていくことです。私たちは、この一年を「UPDATE」のもと、組織の在り方も、運動の姿勢も UPDATE していかなければなりません。
【UPDATE】
「UPDATE」という言葉は、単に新しくするというだけの意味にとどまりません。語源をひもとけば「UP(上へ)」と「DATE(新しくする)」の結合であり、常に未来を見据え、より高みを目指して刷新していく姿勢そのものを示しています。
まず、UPDATE は現状を最適化し、未来へ繋いでいく行為です。過去を否定するのではなく、その蓄積を踏まえた上で、次の時代にふさわしい姿へ進化させることを意味します。昨日の延長に安住するのではなく、常に未来基準で自らを再構築していく姿勢なのです。
また、UPDATE は単なる拡大や成長を追い求めるものではなく、量から質への転換を促します。効率化や規模の拡大にとどまらず、創造性や人間性を加えた「質的成長」を意味するのです。この視点は、まちづくりにも、人づくりにも、そして組織づくりにも共通する大切な視点であります。さらに、このスローガンは自己変革と組織変革の両輪を表します。青年会議所の運動は、常に「自己開発から始まる組織作り」であり、一人ひとりが知識、スキル、経験等の強化を自ら行うことで、組織も社会も進化していきます。「他人ごと」ではなく「自分ごと」として変革を担う時、そこに大きな成長が生まれるのです。
そして、UPDATE は挑戦と学びの連続性でもあります。一度の成功や完成で終わるものではなく、失敗や試行錯誤すら経験値として取り込み、絶えず進化を繰り返していく営みです。社会や環境が急速に変化する現代において、この不断の学びの姿勢こそが最も重要であると考えます。
今、海老名市は人口 14 万人を超え、県央でも注目される都市として成長を続けています。交通利便性や商業施設の充実、子育て環境の強化など、多くの強みを備えていますが、その一方で人口構造の変化や地域コミュニティの希薄化といった課題も抱えています。だからこそ、この街の未来に必要なのは「延長線の維持」ではなく、次世代都市としての価値を磨き続けるための UPDATE なのです。
「UPDATE」とは、古きを切り捨てることではありません。むしろ、これまで築かれてきた伝統や文化を活かしながら、新しい時代に適合させ、融合させていく行為です。それは、伝統と革新をつなぐ架け橋であり、過去と未来を結ぶプロセスなのです。
我々、海老名青年会議所は、この「UPDATE」の精神を胸に刻み、自己を、組織を、そしてまちを未来へと最適化していきます。
【自己開発から始まる組織の UPDATE】
人間はつねに成長し続けなければならない。成長が止まるとき、衰退が始まる――。 青年会議所における最大の財産は、事業や資金ではなく「人」です。会員一人ひとりの成長が、組織を強くし、やがて社会開発運動を推進する力となります。
海老名青年会議所には現在、20~40 代まで、幅広い世代の会員が在籍しています。平均年齢はおよそ 35 歳。家庭を持ち、事業を担い、地域社会の中で責任を果たす世代です。日々多忙であるからこそ、役割をこなすだけでなく、目的意識を持ち責任を全うする心持ちで、自己研鑽の場を持ち、挑戦を続けることが、自らの人生にも社会にも大きな意味を持ちます。
本年度は、例会を通じて知識とスキルを磨く機会を増やします。特に、リーダーシップ、DX活用、社会開発運動を推進するための視点など、未来を切り拓く学びを重視します。そして学んだ知識を実践の場で活かし、成果と失敗の両方を経験することで、自分をアップデートしていきます。失敗を恐れない文化も大切です。アメリカの発明王エジソンは「私は失敗したことがない。うまくいかない方法を 1 万通り見つけただけだ」と語りました。挑戦こそが学びであり、未来志向の運動を続ける源泉です。私たちは挑戦と実験を繰り返す場として、青年会議所を「自己開発の実験場」として位置づけて参ります。また、リーダーシップの開発においては想いを伝えることが重要です。その想いこそ、リーダーシップにおける根幹となり、想いを伝え、共感の連鎖を生み出し、海老名青年会議所でしか経験できない活動を通して社会から本気で必要とされる団体であり続けられるよう、活動してまいります。
【街のデザインを UPDATE】
都市は人が集まり、交流し、価値を生み出す舞台です。そしてその都市の未来を描くのが「デザイン」です。
海老名市は、3 本の鉄道(小田急線・相鉄線・JR 相模線)が交わる県央の交通拠点であり、都心や横浜へのアクセスにも優れています。駅前にはららぽーと海老名やビナウォークといった大型商業施設が立ち並び、年間約 9 千万人が訪れる賑わいを生み出しています。一方で、相模川や田園風景も残され、自然と都市が共存するまちでもあります。
しかし、ただ人が集まるだけでは「選ばれるまち」にはなりません。住み続けたい、働きたい、訪れたいと思わせる未来のまちに進化させることが求められています。
そこで本年度は、「街のデザインの UPDATE」に取り組みます。2025 年度に市民調査アンケートを行い、1,000 名を超える市民から回答を収集いたしました。海老名青年会議所が市民の想いを形にするきっかけを創ることで社会開発運動を推進しながら、魅力発信を共創する仕組みを強化します。たとえば、公共の場の未来像を市民と共に構想し、多様な立場の想いを重ね合わせながら、新たな社会開発運動として発展させていきます。加えて、デジタルの力も積極的に導入します。オンライン投票や SNS を活用して市民の声を集め、リアルとデジタルを掛け合わせたまちづくりを進めます。また、2025 年度の日本青年会議所が開催する佐賀大会では「ふるさと納税」の仕組みを利用した外部資金の調達なども行っており、「共感」を基軸にした新たな財源の獲得や、共創の輪が広がる動きが生まれました。こうした取り組みを海老名にも展開し、地域の未来を創る仕組みづくりに関する調査研究を進めてまいります。これにより「みんなでつくる海老名」という未来志向の社会開発運動を広げていけると考えます。
【次世代育成の UPDATE】
海老名市の最大の特徴の一つは「子どもの多さ」です。市の人口に占める 15 歳未満の割合は約 13%。神奈川県平均を上回り、子育て世代に選ばれている都市であることを示しています。「教育とは、未来を創る最も強力な武器である」とネルソン・マンデラが残すように、次世代の育成は未来志向の社会開発運動を支える基盤です。
私たちは子どもたちに、単なる知識や情報ではなく、「考える力」と「行動する力」を育んでいきます。2024 年 4 月に改訂された海老名市教育大綱には 5 つの柱が掲げられ、その中にも「子供と大人が共に学ぶ機会」の重要性が明記されています。地域の大人との交流を通じて、子どもたちが社会開発運動に触れる機会を創出します。また、育成は子どもだけを対象として完結するものではありません。家庭や地域社会との協働が欠かせません。親子参加型の取り組みや世代間交流を通じて、大人も子どもと共に学び、共に未来をデザインする関係性を築いていきます。更に、持続的な次世代育成を進めるためには「実態の把握」が不可欠です。そのため、私たちは地域における子どもたちの学習環境や成長機会、保護者の教育観などについて調査研究を行い、データに基づいた課題の抽出と可能性の発見に取り組みます。そして、その成果をもとに社会開発運動を企画・展開し、より効果的で未来志向の育成モデルを地域全体で共有していきます。
【組織運営の UPDATE】
組織とは人のためにある。人が組織のためにあるのではない――。
青年会議所という組織は、まちに必要とされ続けなければ存在意義を失います。そのためには、時代に合った組織運営の UPDATE が不可欠です。
本年度の重点方針として「組織運営の UPDATE」を掲げます。青年会議所の活動が社会に影響を与え続けるためには、組織自体が変化に対応し、合理的に進化し続けることが不可欠です。そのためには、運営・運動・人材の 3 つの観点から現状と理想の差を埋めるためのいくつかの明確な課題が示されました。
第一に、運営に関しては「会議の効率性」と「情報共有の正確性」においてそれらの理想に対して現在、大きなギャップがあります。意思決定に時間を要し、情報が十分に整理されないまま共有されることが、組織全体の機動力を低下させています。これを改善するには、目的を明確化し、情報伝達の仕組みを標準化することが必要です。
第二に、運動においては「共感を生む設計」が欠けていた面がありました。運動の根底には、事実に基づいて課題を明確にすることが不可欠であります。運動の成果が地域の人々に十分伝わらず、社会的な巻き込みが限定的であるという現状があります。今後は、事業そのものの質を高めると同時に、調査研究を緻密かつ計画的に進めることで、共感を得られる運動へと再構築することが求められます。
第三に、人材面では「能力発揮の機会」と「挑戦環境の不足」が課題として考えられました。多くの会員が潜在的な力を持ちながらも、それを試し成長する場が限定的であることが、組織の持続的発展を阻害しています。この点については、役割設計の工夫や研修機会の提供を通じて、会員が主体的に行動できる仕組みを整える必要があります。
以上の課題は、いずれも放置すれば組織の停滞を招くものですが、改善の方向性は明確です。効率的な運営、共感を生む運動の基礎作り、挑戦機会のある人材育成という三本柱を同時に推進することで、青年会議所はより高い社会的価値を発揮できる組織へと進化します。本年度、これらの改善を段階的かつ実行可能な形で推進し、理想と現状の差を縮めることを目指して参ります。
【共感とつながりの創出へ UPDATE】
現在の海老名青年会議所の広報運動においては「共感を生む設計」に不足が見られます。活動の成果が地域に十分伝わらず、社会的な巻き込みが限定的であるという現状があります。今後は、事業そのものの質を高めると同時に、対外発信を計画的に設計することで、共感を得られる運動へと再構築することが求められます。
どれほど素晴らしい活動であっても、知ってもらえなければ共感も協力も生まれません。だからこそ、広報の役割は「活動の紹介」にとどまらず、「地域社会との橋渡し」であるべきだと考えます。私たちは、SNSや動画配信、地域メディアとの連携など、多様な発信手段を駆使し、より多くの人々に「今、この地域でどんな挑戦が行われているのか」を分かりやすく伝えていきます。
その過程で広がるのは、単なる情報ではなく「共感の輪」です。「自分も参加してみたい」「一緒にまちをよくしたい」と思わせるストーリー性を持たせることで、地域の人々との関係性はより強固になります。そして、この共感と信頼の積み重ねこそが、新たな協働を生み出し、結果として青年会議所の理念に共鳴する仲間との出会いに繋がっていくのです。広報は会員拡大の手段ではなく、まず地域と共感でつながること。そこから自然に仲間が増えていくことが、私たちの目指す広報の在り方です。
広報の UPDATE は、運動をより開かれたものにし、青年会議所の未来を拓く大きな一歩となります。
【むすびに】
私たち海老名青年会議所は、これまで先輩諸兄姉のたゆまぬ努力と挑戦によって、多くの社会開発運動を積み重ね、地域と共に歩んで参りました。その歴史と伝統の上に、いま私たちが立っていることを決して忘れてはなりません。しかし、歴史を守るだけでは未来を切り拓くことはできません。現状に満足するのではなく、絶えず「UPDATE」を重ね、時代にふさわしい新しい価値を創り出すことこそが、私たちに課せられた使命です。
本年度の運動の柱として掲げた「UPDATE」は、単なる刷新や改革を意味するものではありません。そのために、各分野で明確なゴールとビジョンを共有し、会員一人ひとりがその実現に向けて役割を果たしていくことが求められます。
まず、自己開発から始まる組織の UPDATE では、会員自身が挑戦を恐れず学び続けることを通じて、地域を担う多様なリーダーを育みます。次に、街のデザインを UPDATE では、 市民と共にまちの未来像を描き、「誇れるまち」を創ることを目指します。さらに、次世代育成では、子どもと大人が共に学び合い、未来を共創する文化を築きます。そして、組織運営では、効率的かつ柔軟な組織運営を実現し、挑戦し続ける開かれた組織をつくり上げます。最後に、共感とつながりの創出では、共感を軸とした広報と発信を通じて、新たな協働と仲間との出会いを育みます。
このように、各取り組みは会員個人の成長と地域の未来を結びつけるものであり、「誰かに与えられる未来」ではなく「私たちが共に築く未来」を示しています。個人が磨かれ、組織が進化し、地域が活性化する。この循環こそが、海老名青年会議所が推進する未来志向の社会開発運動の姿です。
海老名市は、都市の利便性と自然の豊かさを併せ持つ、県央エリアの中でも注目を集めるまちです。駅周辺には商業や交通の結節点としての賑わいが広がりながらも、少し足を延ばせば水辺や田園の風景が息づき、人々に憩いとつながりを与えています。また、子どもたちや子育て世代の存在が地域の未来を支える力となり、成長の可能性を示しています。これらの特性は単なる「現状の強み」にとどまらず、私たちがこれからの社会開発運動を描くための確かな資源です。だからこそ、このまちの未来を形づくる主体は、私たち青年会議所であり、また共に生きる市民一人ひとりです。多様な世代や価値観が交わるこの環境を力に変え、新しい協働の形を示していくことが、私たちの役割です。青年会議所がその先頭に立ち、社会開発運動を推進していくことで、海老名は「選ばれるまち」から「誇れるまち」へと進化していくと信じています。
最後に、この 1 年を共に歩む仲間に伝えたいことがあります。理事長一人で未来を描くことはできません。組織は一人の力ではなく、多様な人材の結集と協働によって前進します。だからこそ私は、皆さんの挑戦を後押しし、皆さんの一歩を支える存在でありたいと考えています。そしてその先に、次の世代がさらに大きな挑戦に踏み出せるような土台を築いていくことが、私たちの責任です。
共に「UPDATE」を重ね、進化を続ける組織を実現してまいりましょう。